「小児科」は、子供が生まれてから成人に達するまで、その間の健康を診る科です。
外傷以外の全ての疾患を総合的に診察します。
子どもの病気で、何科にかかるか迷ったら、まず小児科に来てください。
診察の上、必要なら適切な病院に紹介します。
急に高熱が出た | 呼吸が苦しい | けいれんがおきた | |||
泣き止まない | 夜泣き | ミルクを吐く | |||
発疹が出た | 頭を打った | お腹が痛い | |||
鼻水がでる | 元気がない、食欲不振 | 吐く | |||
下痢 | 便に血が混じる | 咳、ぜーぜー | |||
鼻血 | その他 |
急に熱が出たからと言って、慌てることはありません。
発熱は病気を治そうとする生体の正常な反応です。
ウイルスは温度が上がると弱まり、一方生体の持つ治癒能力は体温が高いほど強くなっています。
ですから、熱があるからと言って直ぐに解熱剤を使うようなことは避けてください。
熱はあるものの、比較的機嫌も良く水分も摂っているようなら、しばらくそのまま様子を見て頂いて結構です。
『熱が続くと頭がおかしくなる』とか『熱が続いて肺炎になった』というようなことはありません。
ただ、夜に高熱が出て寝にくいようなら、寝かすために解熱剤を使うのはかまわないと思います。
睡眠は最大の治療法です。
子どもが呼吸困難を訴えるときは、喘息にかかわる場合が多いようです。
程度に応じて、吸入・点滴療法等の処置が必要になります。
ただ、喘息の傾向や既往がないのに、突然呼吸困難を生じた場合は、気管内への異物誤嚥の可能性もあります。
救急処置が必要ですので直ぐに医療機関へ連絡してください。
子どもの痙攣の多くは熱性痙攣です。
慌てずに、口に物を噛ませたりしないで静かに寝かせてください。
嘔吐がある場合は吐物を気管に詰めることがあるので、横を向けてください。
痙攣が5分以上続く場合は、単純な熱性痙攣だけでなく、テンカンや髄膜炎などの場合もありますので、救急車を呼ぶか医療機関に連絡してください。
夜に泣き出し、なかなか泣き止まない時は、次のようにしてください。
・オムツ、肌着を含め、全て着替える。
・20分ほど屋外に出て、散歩する。
・それでも泣き止まないなら、30分ほどドライブしてみる。
これで泣き止むと思います。
しかし、15~20分間隔で激しく泣くこととグッタリを繰り返すようなら、腸重積なども考えられますので、医療機関に相談してください。
背中をトントンして寝てくれるなら、何の心配も入りません。
次のようなことは、夜泣きの原因ともなりますので避けてください。
・夕方以降にキャッキャッというような興奮する遊びは止める。
・熱すぎる風呂は避ける。
激しい遊びや熱すぎる風呂は、子どもを興奮させ、夜泣きにつながります。
お父さんが夜に帰ってきて嬉しいのはわかりますが、激しい遊びはお父さんのお休みの日の昼間にしてください。
ミルクを吐くようになっても体重が順調に増えているようなら、心配はありません。
食欲に胃がついていかずに、飲み過ぎているだけのこともあります。
1回の授乳量を減らし、授乳回数を増やすようにしてください。
ただ、生後2~3週頃に激しい吐乳が見られ、体重増加の不良があるなら小児科を受診してください。
皮膚の症状は実際に目で見ないと診断が付けにくいので、ぜひ受診してください。
その際、発疹がある旨を受付で言ってください。
発疹によっては別室でお待ち頂きます。
なお、入浴は原則的に避けて頂きたいですが、汗疹(あせも)は入浴してもかまいません。
夜、痒みが強くて寝られない時は、自宅に風邪薬があれば1回だけなら飲ませてみるのもいいかもしれません。
鼻水を止める薬には痒みを押さえる効果もあり、眠気も出ます。
『泣けば大丈夫』ということはありません。しかし、慌てて救急車を呼ぶこともありません。
まずは様子を見てください。
受傷直後はショックからボーッとしたり顔色が悪いこともありますが、時間が経つと共にいつもの調子に戻って機嫌よく遊んでいるなら、心配は入りません。
しかし、だんだん機嫌が悪くなったり、顔色が悪くなるようなら、専門医を受診してください。
1時間後にいつもの調子に戻っているなら大丈夫、しかし1日(24時間)は様子を観察してください。
子どもの『お腹が痛い』はあまりあてにはなりません。
しかし、お腹を押さえて痛がり、明らかに腹痛があるようなら、下痢をしていなければまずは浣腸(市販の物でよい)をしてください。
それで収まることもあります。
ただ、乳幼児で激しく泣くことや嘔吐を繰り返すようなら、小児科医に連絡してください。
透明あるいは少し白っぽい鼻汁が出る程度で、他の症状がないならそのまま様子を見てもかまいません。
しかし黄色や緑色の鼻汁が続くなら、副鼻腔炎も疑われます。耳鼻科か小児科を受診してください。
食欲、哺乳量が少なくなったからといってあまり心配することはありません。
機嫌や動きがいつもと同じようなら、様子を見てください。
大人だって食欲のないときもあるのですから。
しかし、顔色や表情などがいつもと違いぐったりしているようなら受診してください。
子どもはよく吐くものです。
吐いた後でも機嫌よくしているなら、心配はいりません。
しばらく様子を見てください。
しかし、吐いた後も顔色不良が続くなら、受診してください。
咳き込みが強い時にもよく吐きますが、心配いりません
。
一旦飲み込んだ痰などの分泌物を出しているのですから。
こんな時は吐いた後はすっきりとした顔をしているものです。
しかし、嘔吐を繰り返しグッタリとしているときや、激しく泣くことと嘔吐を繰り返すようなら受診してください。
乳児はお腹の状態がまだまだ安定しないので便が軟らかいことがよくあります。
いつものようにミルクを飲み、機嫌が良いなら心配いりません。
しかし、グッタリとして元気がないなら脱水症の心配もあります。
少量ずつ水分を補給してください。それでも改善しないなら点滴による水分補給の必要もありますので、必ず受診してください。
特に乳幼児では脱水が急激に進行することがありますので注意してください。
便が軟らかいときは、便に少量の粘液とともに血が混じることがあります。
機嫌がよく元気ならしばらく様子を見てください。
しかし、症状が何日も続くようなら受診が必要です。
特に、激しく泣いたり嘔吐を伴った血便は腸重積の心配もありますので、すぐに受診してください。
ゼーゼーを伴った咳は喘息の可能性もあります。医療機関に連絡してください。
特に乳幼児でさっきまで元気にしていたのに、急に咳き込みだし、呼吸が苦しそうなときは気管内への異物誤嚥の可能性もありますので、すぐに医療機関に連絡してください。
寝かしたり、冷やしたりしないでください。
鼻を心臓より高い位置にするため、座らせてください。
カット綿をクルクルと棒状にして鼻に入れ左右から摘んでください。
そのまま5分間つまみ、そっと放して出血がなければ心配いりません。
しばらくしてから詰めた綿をそっと取ってください。鼻の奥に流れた血液は飲み込まないようにして口から出してください。
しかし、出血がなかなか止まらなかったり、何回も繰り返すようなら基礎疾患があるかもしれませんので、受診してください。
小児科が他の診療科と異なる大きな特徴は、対象となる小児が絶えず発育、成長しているということです。
さらにまた、その発育、成長の割合がかならずしも直線的でなく、時期によって大きく異なります。
たとえば小児科のなかでは、大まかに区分して、
(1)新生児期(0~1か月)、(2)乳児期(1か月~12か月)、(3)幼児期(1~6歳)、(4)学童期(6~12歳)、(5)思春期(12~17歳)としていますが、
これらのそれぞれの時期で発育、成長の度合いが異なり、生理、代謝もそれぞれ特徴があるので、疾患の予防、治療には各時期ごとに発育度や生理の特徴をよく考慮して診察をいたします。